ゴールデンフィーバー様と言えば、重厚なシナリオと個性際立つキャラクターが魅力的なサークルの印象なので本作「悪魂入りのカティ」もどうなるのか楽しみでした!
基本情報
Ver.1.3をプレイ
途中までプレイして最初からやり直しを数回しましたがプレイ時間は大体9時間~10時間以内。屈辱・尊厳、自立エンディングクリアでHシーンCG・回想フルコンプ※全解放未使用です。
プレイ感想
本作はヒロイン・カティを操作して、期間内に母の形見を取り戻すために奔走するイベント探索型RPGで、個人的には恥辱・脅迫系の可哀想なシナリオが苦手でなければオススメしたいほどの素晴らしい作品でした。
とくに特筆すべきはキャラクターとシナリオ。
私はWE ARE BANDITS!! ウィーアーバンディッツ ~恥辱に手折られし戦場の花~」をプレイ済みなのですが、当時から老若男女・年齢問わず描き分けに感服しましたが、今回は更に洗練された絵柄へと進化されてました。
プレイヤーが操作するカティはあらゆる暴力に対抗できる強大な悪魔を身の内に宿しつつも力に抗い、自己犠牲の精神が強く、他人のためなら屈辱的なことすら耐える心優しい女の子。
エンディングは期限切れを含め4種類ですが、大まかには二つの結末に分けられます。
元・市長である父の対抗勢力である教会の言いなりになって、強制露出・衆人観衆や凌辱などあらゆる方法でカティの尊厳を傷付ける脅迫シチュエーションにまみれた『屈辱ルート』
他人を助ける対価として自らを差し出すため必然的にHシーンが多くなるシナリオですが、スケベ心よりも教会に対する怒りが勝り、最後まで胸糞が悪いままエンディングを迎える正に屈辱。
変態に一晩中セックスを強要されても市場を裸で歩いても、他人が救われるのならば地獄のような時間も我慢できる…というカティの考え方が本当に切なくて悲しい。
ただ、教会が諸悪の根源ではありますが、カティの独りよがりな思考も原因のひとつだった気がして余計に虚しさを覚えたルートでした。
そんなモヤモヤを抱えたまま、二周目はカティを幸せにしてあげたいと思って目指した『尊厳ルート』は難易度も高くなって非常にやり応えのある内容。
すべてがネタバレになるので多くは語れませんが、このルートでは他人を助けるために孤独に戦い続けたカティが、自分ではどうにもできないことは「他人に頼る」ことを覚えて成長する絆の物語に感動と興奮で無事、尊死。
本筋は同じでも過程が異なるだけで印象が180度変わるシナリオ展開と、屈辱ルートで溜まったプレイヤー(私)の鬱憤をぶつけるかのようなラストに弥が上にも盛り上がってしまい一気にクリアしちゃいました!
イケ女イケメンイケオジが登場するので、尊厳ルートは乙女ゲームをプレイしているような気持ちだったけど、最後の最後でリーマンとパウルのやりとり(ネタバレ)に萌えた腐女子でした。
乙女や腐女子を置いといても秀逸なシナリオに圧倒され、クリア後はしばらく放心状態でした…
街中を歩き回ってイベントを発生させる探索型RPGなのですが、マップチップとBGMがマッチして寂寥感を覚える雰囲気が好きなのでまったく苦になりませんでした。
むしろ、雰囲気以外にも意外な人物が主要イベントのトリガーだったり、カティの選択によって住人の台詞が変化するのでむしろ楽しくて無駄に歩き回ったくらい。
ゲームの難易度は屈辱ルートならばクリア自体は簡単でしたが、メモを取りながらでもHCGと回想が8割程しか埋まらず、間に尊厳ルートを挟んでからコンプリートのためもう一周屈辱ルートへ。
そして、一度クリアした方向けである尊厳ルートは、尊厳値を上げるのが大変でイベントコンプリートも目指すと歯応えのある難易度になるので、何度か途中まで進めてはやり直してを繰り返して結局、攻略サイト様に頼りました…
ちなみに、屈辱ルートをクリアするとHCGと回想の全開放ができますが、どうしてもイベントの前後の流れを確かめたかったので最初からプレイしています。
それくらいこの作品に夢中になりました。
シナリオには期待してましたが、予想を超える面白さとストーリー展開に、私の情緒は終始ジェットコースターを乗っているようにかき乱されました…
ストーリー要素に比重が置かれた作品なのでAVG系に必要なシステムは大体実装されていて、しかも、謎のシスターによる懇切丁寧なヒントやCG・シーン全開放スイッチなどシステム周りも優秀で遊びやすかったです。
ちなみに、ゲーム開始時にカティは処女だと思われますが処女・非処女の判定はありません。この状況で初体験の相手を選ぶ余裕もなかったので、個人的にはなくて良かったと思いました。
良かったところ
あまりにも優しすぎる主人公カティ
操作キャラクターのカティは悪魂入りとして生まれ、屋敷の外へ出ることも叶わず、亡くなった母と世話役に育てられた若干世俗に疎い箱入り娘。
父とは母の件もあって折り合いが悪くてゲーム開始から冷めた態度を取ってはいるのですが、唯一の肉親以外には優しくて情に厚い女の子なので他人のためなら自分がどうなろうと構わない、なかなか危うい自己犠牲の精神を持っています。
しかし、凛々しくて勇敢な見た目通りの気高さと生真面目さも持つカティは、母との約束を守るため、強力な悪魔を宿しながらもどんなに理不尽な目に遭おうとその力には頼らずにひたすら耐え抜こうとする姿に、なんとも言えない苦いものがこみ上げます。
そんなカティを嘲笑うように次々と辱める教会の司祭共は全員、地獄に落ちてほしい…
行動次第で変化する両極端なルート
本筋は一本道なのですが性的な無理難題を吹っ掛けられたときの解決方法が真逆で、屈辱ルートは他人のためにひたすら孤独に戦うカティのHシーンが大量に見られますが、あまりにも理不尽でスケベ心は宙へ消えました…
一転して、尊厳ルートは孤独な戦いを止めたカティのもとに協力者達が集って教会へ立ち向かう(ネタバレ)熱く晴れ渡るような展開とアインスラー大陸が広がりを見せる、ワクワクドキドキする最高のストーリーでした。
尊厳ルートはHシーンがほぼ見れないルートですが、スカッとしたプレイ後感で終わりたい方はぜひともこちらのルートも遊んでほしい!遊ばないと損です!
屈辱ルート後に尊厳ルートをクリアして本当に良かった!
尊厳ルートはカティもだけどプレイヤーも救済してくれるルートだ!
サブキャラクターの存在がより物語を深める
本作はたくさんの立ち絵ありキャラクターが登場しますが、男性含めて捨てキャラはいないだろうと思ってましたがその通りで、協力者は全員が個性豊かで魅力的なのでまだまだ活躍が見たくなります。
他にも、立ち絵がある住人はメインシナリオの肝なので深く掘り下げられますが、立ち絵のない住人達にも細かい設定があるようで、この二人が繋がるのか!とカティもプレイヤーも知らない横の繋がりに驚かされること多々。
もちろん、敵側の司祭達もキャラ立ちが完璧なので余計にイライラ…ゲームでここまで憎たらしいと思えたのは久し振りです。笑
協力者の中には「え?まさかの?」と見覚えのある名前と姿に嬉しくなってしまったり…
これはもうアインスラー大陸シリーズ他作品もクリアしないと駄目だ!と思い、ずぶずぶと沼地へ。
システムやヒント機能でストレスフリー
ジャンルはRPGですが文章を読むことが多い作品なのでメッセージスキップ・バックログ・オート機能とAVG系に必要なシステムは揃っていて、とくに目的が記されるnoteやバックログはメッセージを見逃した時などかなり重宝しました。
また、拠点を行き来することが多いので、移動時間の短縮ができるPageDOWNキーもありがたく、プレイヤーの”面倒臭い”を極力排除したシステムが多く実装されていて遊びやすかったです。
気になったところ
本作に関してはとくにありません。
まとめ
―彼女はあまりにも優しすぎた。
キャッチフレーズの通り、優しすぎるカティを食い荒らそうとした悪党共に、最悪な選択を選びながらも他人のために健気に耐える、ある意味滑稽な彼女の姿に心が痛みました。
が、一転して、忌み嫌われる存在だったカティの心根に触れた仲間達と共に教会へ挑むルートには熱いものがこみ上げ、ここまで遊んで良かったと心地よい高揚感に包まれ満足度も高めですので★は突き抜けて飛んでいきました。
クリアの順番は難易度的にも屈辱→尊厳ルートをオススメします。
最低最悪な道へ転がった屈辱ルートでたまった鬱憤をぜひとも尊厳ルートで晴らしてほしい…これ以上にないカタルシスを得られると思います。
とりあえず、もっとアインスラー大陸について知るために「ボクのために戦って負けて犯されて!?」をクリアしなければならない!